【願わくば・・・】



・・・遅い。

細い手首に巻いたパステルピンクの細いバンドの巻かれた時計を見て、ネコ娘は眉間に皺を寄せた。
約束の時間はとっくに過ぎている。
なのに待ち人、来たらず。
はて?
日付を間違っていたか?
いいえ、日曜日の十時に駅の噴水で合っている。
ならば何かあったとか?
それは考えられる。
待ち人、鬼太郎はかなり多忙な人・・ならぬ、妖怪。
彼はどこにいっても引っ張りだこなのだ。
でも、それならば何らかで連絡をくれるはず。
「にゃあ〜」
足下で黒猫が鳴いた。
彼女の相棒、クロだ。
「どうだった、クロ」
するとクロはこう鳴いた。
“家で寝てる”
それを聞いて、ネコ娘は一陣の風と化した。




「きたろぉ〜っっっっ!!!!」
思いっきり筵戸を開ける。
結構な音が出たのに彼は寝たまま。
「な、なんじゃっ!?ネコ娘っ?」
彼の父親は飛び起きたというのに。
「鬼太郎〜〜っっっ」
ずかずかと足音も荒く、彼の寝床へと近づく。
むずっと胸ぐらを掴み、はしたないと思いつつも馬乗った。
「起きなさいっ、鬼太郎っ。きたろぉぉ〜〜っ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふにゃ?」
寝とぼけた顔で鬼太郎が薄目を開けた。
「ちょっと、どういうことっ!? あたしの約束すっぽかすなんて・・・・」
言葉は最後まで続かなかった。
「・・・・・・・・・・・ごめんね」
そう言って、彼はネコ娘の胸に顔を埋めて抱きしめた。
「なっ、ちょっ・・・」
狼狽するもおそるおそる鬼太郎をみやれば、彼はもうすやすやと夢の中。
なんとも幸せそうな顔で眠っている。
「すまんのぉ〜、ネコ娘や。鬼太郎は明け方まで出とっての、徹夜なんじゃ」
「・・・・・・・・・・それなら、それで、そう言ってくれればいいのに・・・・・」
「本当は少し仮眠して約束に間に合わせるはずじゃったのじゃが・・・・」
「ううん。いいの。・・・・・・・・・鬼太郎、ゆっくり休んでね」
胸の中で眠る幼馴染みはいつも素っ気なくて、何もかも背負って大変な彼じゃなく、まるで子供のようで。
安心して寝てくれるように、ネコ娘はポンポンと背中を優しくあやすように叩いた。
願わくば、いつまでもこんな風に穏やかに安らかにいられるように。


〈完〉





     津浦ヒノ様よりのコメントです

     “ほのぼの”と聞いて、幸せそうに眠る鬼太郎さんを一つ。

     たまに子供のようなあどけなさを見せる高山鬼太郎が愛しく思ってしまいますv


       


       ご投稿ありがとうございました!
       そうですよね〜鬼太郎はハウスでゴロンと横になってるのも可愛いですよねvv
       戦い疲れが多いんでしょうか・・・ゆっくり疲れは癒して欲しいです。
       ほのぼの鬼太郎さんvvモエでした〜。・:*:・(*´ー`*人)。・:*:・
 
                                                     井上より
     







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